酸塩基平衡の基礎~酸塩基平衡を保つための仕組み~

監修によせて

監修

日本医科大学大学院 医学研究科 腎臓内科学分野 大学院教授
日本医科大学付属病院 腎臓内科 部長
鶴岡 秀一

日本医科大学 名誉教授
飯野 靖彦


酸塩基平衡を保つことは、細胞環境を保つうえで非常に重要であり、その異常は、細胞機能の失調を意味しています。
また、ヒトは生きていくうえで常に酸を生産し、酸やアルカリを摂取しながら生きており、それでも細胞環境を適切に保つために、肺や腎臓といった臓器が調整をしています。

酸塩基平衡異常は、単に細胞環境が酸性・アルカリ性に傾いているというだけでなく、その根源にある病態が生体のあらゆるバランスに影響を及ぼした結果のあらわれです。
そのため、ヒトの体におこる様々な病態をより広く理解するためにも、酸塩基平衡の知識は重要な手がかりとなります。

酸塩基平衡が関連する疾患は多数ありますが、例えば、慢性腎臓病(CKD)患者は国民の8人に1人ともいわれ、CKD患者さんの治療にあたられている先生は多くいらっしゃることと思います。

CKD患者さんは、腎機能が低下することにより、さまざまな水電解質異常が生じますが、血中重炭酸濃度を補正することで腎障害の進行を抑制できることが明らかになっています。
腎臓内科専門医が参照するCKD診療ガイドライン2013でも、『重曹などで血中重炭酸濃度を適正にすると、腎機能低下、末期腎不全や死亡リスクが低減するため、代謝性アシドーシスの補正を推奨する。』としており、CKD治療において酸塩基平衡は重要なファクターになっています。

本コンテンツは、酸塩基平衡を保つための体の仕組みや、血液ガスについて振り返っていただけるように、そのエッセンスをまとめた第1弾です。
酸塩基平衡は、理解するまでには多少の時間を要することもありますが、臨床に役立つ知識であり、それは腎臓内科専門の先生だけにとどまりません。

 本コンテンツが、これから各領域の専門に進んでいこうとしているレジデントの皆さんや、すでに第1線で活躍されている先生方のお手元で、酸塩基平衡に親しむためのきっかけとして、少しでも参考となれば幸いです。

ページトップへ戻る