step by stepによる酸塩基平衡異常の診断ポイント

Ⅴ 酸塩基平衡異常の4つの基本型と、代償性変化の評価


酸塩基平衡異常には基本型として、呼吸性アシドーシス、代謝性アシドーシス、呼吸性アルカローシス、および代謝性アルカローシスの4種類がある。実際の患者では、これら4基本型が合併している混合性酸塩基平衡異常が多く、鑑別診断が重要となる。

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酸塩基平衡異常の4つの基本型

血液pHを酸性側に傾ける病態(酸性物質の蓄積)であるアシドーシスのうち、その原因がPaCO2の上昇によるものを呼吸性アシドーシス、HCO3の減少によるものを代謝性アシドーシスという。また、血液pHをアル力リ性側に傾ける病態であるアルカローシスのうち、その原因がPaCO2の低下によるものを呼吸性アルカローシス、HCO3の増加によるものを代謝性アルカローシスという(図4)。

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酸塩基平衡異常にはそれぞれ代償作用が必ず付随して起こるため、これを考慮しないと正しい診断はできない。Henderson-Hasselbalchの式(下記)から、pHはHCO3とPaCO2の比で決定されることがわかるが、代償作用によって比を完全に正常化するのは困難である。また、臨床上での酸塩基平衡異常の評価はHCO3とPaCO2の両者の変化から判断しなければならない。例えば、HCO3の低下のみで代謝性アシドーシスとは診断できず、呼吸性アルカローシスに伴う代謝変化の可能性もある。酸塩基平衡異常の基本型を診断するには、血液ガス分析にもとづく5ステップ(SectionⅡを参照)に従って診断することが、正確かつ合理的である。


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代償性変化について

代償性変化の予測範囲と限界値を表5に示す。

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まずは、 HCO3が通常の24からどれだけ変化しているか計算し、⊿[HCO3]を、また、PaCO2について通常の40からどれだけ変化したか計算し、⊿PaCO2を計算する。そこで、上記表に当てはめ、代償性変化の範囲内であれば、混合性の酸塩基平衡異常の可能性は否定できる。

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マジックナンバー15による代償性変化の判断

予測されている酸塩基平衡異常が代謝性異常が主体であり、呼吸性異常が主体であることを否定できる場合は、マジックナンバー15を用いる方法も臨床では汎用されている。表5において、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシスともに、代償性変化の係数を1.0と仮定し、HCO3の正常範囲を25と仮定すると、以下の関係が導き出せる。

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