メタボリックシンドローム誕生秘話

メタボリックシンドロームという言葉やその概念は、メディアやいわゆるメタボ健診と呼ばれる特定健診のスタートにより、この10数年の間に急速に広がりました。

メタボリックシンドロームの日本における診断基準は、松澤佑次先生(住友病院院長 大阪大学名誉教授)を委員長として、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会、日本内科学会の8学会合同で構成したメタボリックシンドローム診断基準検討委員会により完成され、2005年4月に公表されました。

高血糖、高血圧、脂質異常、肥満といった複数の生活習慣病が重なると、動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の危険性が高まることは以前より世界的に知られており、1980年代後半ごろから「シンドロームX」「死の四重奏」「インスリン抵抗性症候群」などが提唱され研究されてきました。松澤佑次先生は大阪大学に教授として在職当時、内臓脂肪の蓄積が皮下脂肪による肥満とは全く異なる悪影響を与えることを発見し、「内臓脂肪症候群」を提唱されています。

本診断基準は、メタボリックシンドロームの基本原理はグローバルの考え方と協調しながら、日本人のエビデンスに基いて基準値が設定されています。つまり、日本人のための診断基準です。